最近よく耳にする「農福連携」というコトバ。農業と福祉の分野が手を取り合うことで、生産者にとっては担い手の確保や生産性の向上、障がいのある方には就労機会や収入の確保につながる取り組みです。地域の農業の存続、障がい者の福祉のほか、農地整備による自然環境の保全等への高い有効性から、近年、関心の高まりを見せている「SDGs(持続可能な開発目標)」との親和性も高く、各方面からも期待が寄せられています。
長野県でも、これから農福連携を始めようと思っている生産者の方々にむけて、取り組むにあたってのポイントをまとめたガイドブックを作成するなど、積極的な推進に取り組んでいます。
長野県では「農福連携」の取組みを推進中です! ~「農福連携ガイドブック」を作成しました~
農福連携農産物のブランド化を!「ノウフクJAS」について
農福連携の取り組みによって生産された産品を規格として定め、その産品が確かなものであることの説明や証明を容易にするとともに、その「強み」を規格にすることにより、こうした産品のアピール力の向上と、ブランド力を高めることが、農福連携を進展させていく上で重要となりました。
平成29年度のJAS法の改正及びJAS制度の見直しに伴い、JASの対象をこれまでのモノ(農林水産品・食品)の品質から、モノの「生産方式」(プロセス)、「取扱方法」(サービス等)、「試験方法」などにも拡大するとともに、農福連携の取組によって生産された産品の規格化を図り、平成31年3月29日に「障害者が生産行程に携わった食品」(以下「ノウフクJAS」)が農林規格(JAS)として制定されました。
農福連携によって生産されたノウフク生鮮食品やノウフク加工食品を対象に定められるノウフクJAS。
農福連携の推進を後押しするとともに、多様な人材を包摂する社会の実現に寄与すること、そして、人や社会・環境に配慮した消費行動であるエシカル消費への関心が高い購買層に訴求していくことなど、今後、ますますの活用が期待されています。
ノウフクJAS認証第1号!完全農福連携での栽培の実践により、地域に根差し、未来を耕す~株式会社ウィズファーム~(松川町)
果樹栽培100年以上の歴史を誇り、県内屈指の「くだものの里」として知られる松川町。昔から独自の販路を有する農家が多く、1975年に中央自動車道松川インターチェンジが開通してからは、県外からも多くの人々が訪れるようになり、果物狩りなど観光農園なども含めた独自の農業経営が行われてきました。
そんな松川町で、農福連携に取り組み、全国で初めて「ノウフクJAS」の認証を取得したのが「株式会社ウィズファーム」です。町内にある高齢で継続が困難な農家の農地を借り受け、リンゴをはじめとした果物や、ジャガイモやニンニクといった野菜を栽培し販売するほか、規格外品を活用しジュース等に加工して販売しています。
設立は4年前。就労継続支援事業所「株式会社ひだまり」の職員であった森下さんが、利用者を施設外就労として受け入れ、農福連携に取組むことで、利用者の工賃アップにつなげたい、との思いを抱いたのがはじまりでした。設立時には5人だった利用者も、現在では15人に増え、日々農作業にいそしんでいます。
利用者は、リンゴ栽培の場合、枝切りから花粉づくり、摘果、除草、葉摘み、そして収穫、選果といった一連の作業に携わっています。森下さんは、農作業に入る前に、丁寧に内容を説明することや、利用者一人一人の個性、得意不得意に合わせた作業を用意し、利用者の意思を尊重しながら、技能を伸ばしていくことを心がけ、利用者のモチベーション向上と経営改善につながるよう心がけています。
また、農福連携の「お墨付き」ともいえる「ノウフクJAS」の認証を取得したことで、その高い社会的貢献度が強みとなり、近年注目される「エシカル消費(倫理的消費)」を望む購買層への訴求力も増大することも期待されています。
株式会社ウィズファームさんのページをチェック!
いかがでしたか?長野県では、こうした農福連携の取組みのほかにも「SDGs」の理念に沿った活動に取り組む事業者について「長野県SDGs推進企業登録制度」の設立を通じて応援しています。ぜひ、登録事業者の商品もチェックしてみてください!
長野県SDGs推進企業登録制度について ~持続可能な未来を長野から~ 長野県内の企業等の価値向上と競争力の強化などを図るため、SDGsと企業活動との関連について「気付き」を得るとともに、具体的なアクションを進める長野県独自の「登録」制度です。
県はSDGsのゴール等につながる具体的な取組を提示し、提示内容を踏まえ具体的なアクションに取り組む企業等を登録し、オリジナルの登録マークの提供やHP等による公表を通して応援します。
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