県土全体の平均標高が1,132mある長野県。日本一の平均標高の高さは、昼夜の寒暖差を大きくし、開けた大地にはたっぷりと太陽の光が降り注ぎます。この環境を生かして作られるレタスやセルリーなどは出荷量日本一を誇り、その品質も高い評価を得ています。
平均標高の都道府県別ランキングについて
国土地理院の資料によると、平均標高が最も高いのは長野県。日本で唯一平均標高が1,000mを超えていることからもその標高の高さがうかがえます。
生産量1位!高原野菜の代名詞「レタス」について
昼夜の寒暖差が大きく、たっぷりと太陽の光が降り注ぐ環境で生産されるレタスの生産量全国1位は長野県。そんなレタスは5月~10月に出荷の最盛期を迎えます。
令和元年のレタスの全国出荷量は約545,600トン。そのうち長野県は約191,500トンで、35.1パーセントのシェアを占め第1位。長野県だけで総出荷量の約4割を占めています。
日本一の平均標高の高さにより生み出されたこの恵まれた環境は、さまざまな野菜の個性をもっと豊かにし、もっとおいしくしてくれていました。今回は、標高1,000m以上の高地で作られる、こだわりの極上野菜たちをご紹介します。
長野県の野菜をチェック!
さわやかな酸味がクセになる富士見町の真っ赤なルバーブ~富士見町ルバーブ生産組合(富士見町)~
ふきのような見た目のシベリア原産の植物で、茎の部分が食用になり、欧米ではジャムやお菓子、肉料理のソースなどに広く使われている今話題の野菜「ルバーブ」。八ヶ岳南麓の標高700~1,400m に位置する冷涼な富士見町は、生産量日本一を誇るルバーブのメッカです。一般的に知られているのは緑色のものですが、富士見町では昼夜の寒暖差が大きい高原地帯であることを生かし、希少品種である茎全体が赤く色づくルバーブが生産されています。
富士見町に伝わったルーツは定かではありませんが、当初は一部の方が自家用に栽培する程度でした。2006年にイギリス人の夫とともに町内に暮らし、ルバーブを育てていたエンジェル千代子さんが初代組合長となり、遊林荒廃地を再活用し特産品化することを目的に日本で唯一のルバーブ生産組合である「富士見町ルバーブ生産組合」を設立。さらに2011年には当時の町長がその取り組みに着目。首都圏の大手デパートに営業を行うなど、町全体でルバーブの振興に取り組みました。組合員は今では110人ほどに増え、年間30t近くを生産しています。
組合長である川合弘人さんは元新聞記者で、赤いルバーブを取材するうちに魅了されて栽培を開始したそう。
「他地域にも赤いルバーブがありますが、これほど赤いものはないと言われています。収穫適期は6~7月初めと9~10月で、特に秋口は酸っぱさが弱まり、色がよりきれいになります」と川合さん。その赤色は、実際に見ると目を見張るほどの美しさです。フルーティーな酸味があって、食物繊維やカリウム、アントシアニンなどが豊富で、近年は健康食品としても注目される赤いルバーブ。ぜひご家庭で、美しさと酸味を生かしたさまざまな味を楽しんでみませんか。
ルバーブ関連商品をチェック!
鮮度にとことんこだわったケタ外れに甘い原村のとうもろこし~HAMARA FARM(原村)~
八ヶ岳山麓の南西部、標高900m~1,300mに位置する原村。1年を通じて降水量が少なく湿度も低いさわやかな気候で、近年は移住者も増えているエリアです。そんな原村で生まれ育った同級生の柳沢卓矢さんと折井祐介さんが2011年に立ち上げたHAMARA FARM(ハマラファーム)で栽培しているのが、実の皮が薄く水分が豊富で生食できる「八ヶ岳生とうもろこし」。甘いメロンでも糖度16度といわれる中、なんと糖度が20度を超えることもあるとか。本当? と思って実際にひと口食べれば驚くほどの甘さが広がります。この糖度の高さと食感のよさこそ、標高の高さによる昼夜の寒暖差と長い日照時間の賜物だといえます。
しばらくの間、地元を離れ別々の企業で働いていたふたり。しかし、もっと自由でやりがいのある仕事を求めて帰郷し、折井さんの祖父母が農家だったことから資材が揃う農業を始めました。当初は約20種類もの野菜を作っていましたが、次第にニーズが高いとうもろこしにシフト。5年ほど前にとうもろこし専門農園となりました。
一番のこだわりは、収穫のタイミングと鮮度。とうもろこしは若すぎると甘くなく、過熟すると実が固くなるため、毎朝1本1本絶好のタイミングを見極めて朝5時までに収穫し、その日のうちに出荷しています。950m~1250mの標高の異なる10カ所ほどの畑で栽培していること、また、通常は年に3~4回の種まきを、60回に分けて実施することによって収穫期がずれ、7月下旬~9月中旬と長期にわたり食べごろのおいしいとうもろこしを毎日出荷することができます。
今後は同気候帯である八ヶ岳高原エリアの特産品に育てていきたいと、自分たちのノウハウを若手生産者に伝え、ブランド化を目指しているふたり。「僕らは食も観光の楽しみのひとつと捉え、この『八ヶ岳生とうもろこし』を食べるための観光誘客の仕組みをつくっていきたいと考えています。このとうもろこしには、わざわざ食べにきてもらう価値があると思っています」(折井さん)八ヶ岳の恵みを受け、こだわり抜いて育てられた特別な夏の味わいをどうぞお見逃しなく。
生命力がおいしさを引き出している野辺山高原のトマト~雲の上のトマト(南牧村)~
日本一標高が高いJRの駅である野辺山駅や国立天文台の宇宙電波観測所があることでも知られる、八ヶ岳東麓の標高1,300~1,450mに位置する南牧村の野辺山高原。そんな高冷地ならではの昼夜の寒暖差と紫外線の強さを存分に生かし、肥料も水も与えないという独自の土耕栽培で「雲の上のトマト」を育てるのが、野辺山高原で唯一のトマト専門農家である高見澤憲一さんです。この方法により、トマトは水分を求めて懸命に育ち、果肉自体はほかの土地で育てられる同品種の3分の1ほどの大きさながらも子孫を残そうと結実し、糖度が凝縮して力強い味わいが生まれるのだそう。雨天時にはハウスの屋根を閉じるため、トマトが得られる水分は夜露のみといっていいほどです。
「最近は温度も湿度もコントロールするハイテクな栽培が流行っていますが、私はあくまで基本栽培において高品質なトマトの栽培にこだわっています」
こう話す高見澤さんは、かつては都内のCM美術会社に勤務していましたが、約30年前に地元に戻って後継者のいない親戚の土地で農業を始めました。そして15年ほど前に、この地域の主力であるレタスや白菜ではない農産物を作ろうと、当初は原産地の乾いた気候が国内では野辺山高原と多少共通しているように感じられたメロンやスイカを栽培していましたが、10年ほど前に行き着いたのが、アンデスの高山地帯原産で、日射量が強く昼夜の気温差が激しく乾いた空気と痩せた土地で自生していたのが原種といわれるトマトでした。5年ほどの試行錯誤の末に栽培方法も確立。そのおいしさは口コミで広がり、県外から購入に訪れる人もいるほか、都内の有名レストランから多くの引き合いを受けています。
現在、栽培しているのは、皮が柔らかく酸味があり清涼感を感じるルネッサンスと、糖度が高く楕円形で食べやすいアイコ、甘くて小さく飾り付けにも最適なキャロル、糖度と酸味のバランスがよいフルティカの4品種。食べ比べると想像を超える旨みと味わいの違いに驚きます。遠路はるばる求めてくる方がいるのも納得のおいしさです。
トマト関連商品をチェック!
いかがでしたか?今回は、日本一の平均標高が生み出す極上の野菜たちをご紹介しました。このほかにも、長野県では沢山のこだわり野菜が生産されています。ぜひ、本サイトでチェックしてみてください!
長野県の野菜をチェック!